黄色い涙のストーリー

永島慎二の名作コミックを“嵐”の主演で映画化

映画の舞台にもなった阿佐ヶ谷の中杉通り

中学時代の1974年にNHK銀河テレビ小説で放映されたドラマ版に強い影響を受けたという犬童一心監督(代表作品:「ジョゼと虎と魚たち」、「タッチ」ほか)が、脚本にドラマ版と同じ市川森一を迎えて長年温めてきた映画化の夢を実現させました。

高度成長期の東京を舞台に、夢を追って不器用にもがき続ける若者たちの美しくもホロ苦い青春模様を優しく見つめる。誰もが青春時代に感じる未来への憧憬や1960年代の昭和の風情が残る阿佐ヶ谷(写真参照)のロケショーン映像がノスタルジーを誘います。

<ストーリー> : 東京オリンピックを翌年に控えた1963年、高度経済成長期真っ只中の東京の阿佐谷で、マンガ家の村岡(二宮和也)、歌手の井上(相葉雅紀)、画家の下川(大野智)、小説家の向井(櫻井翔)ら4人の芸術家の卵たちが、とある計画を実行しようとしていた。ガンに侵された村岡の母を東京の病院に入院させるため、嫌がる母を上京させようとするのだが……。

昭和を舞台にした夢を追う青年たちの挫折のお話

作品の感想

故・永島慎二さんの代表作であり、また日本漫画史の金字塔でもある「漫画家残酷物語」の中の作品を嵐の主演で映画化したものです。永島さんの作品は太宰治の小説を思わせるような、若者達のやるせない青春を描いているものが多いのですが、この映画でも高度経済成長を突き進んでいた1963年の東京・阿佐ヶ谷を舞台に、共同生活を送りながら夢を追い求める4人の芸術家の卵を主人公の青春模様を淡々と描いています。

「色々挫折や苦労もあったけど、最後はみんながハッピーになりました」というようなエンターテイメント作品ではなく、「一生懸命に夢を追いかけてもそれがすべて叶うわけではない。それでも人生は続いていくんだよ」的などちらかというと挫折にスポットを当てたストーリーですので、アイドル主演の娯楽映画によくある展開を期待しているといい意味で裏切られます。

アイドルの粋を超えて「俳優」という肩書きが板についた二宮さんが本作品でも昭和の香りを漂わせてる演技で魅せています。ただ、他のメンバーの方よりも抜きん出ているため、シーンが変わるたびに浮いているような感じがちょっとしました。二宮さんは人妻でもある元彼女(田畑智子さん)に強引にキスするシーンがあって、映画館なら「キャー」という声が聞こえてきそう(笑)。

評論家の方が「この映画って、びっくりするほど嵐の5人が輝いていない」と仰っていましたが、これは監督と意図だと思います。原作だそうでしたから。同じく昭和の臭いを売りとした「ALWAYS」などの作品が同時期に公開されていたため、二番煎じ的な評価があるのが残念ですね。

ちなみに永島さんの本名は「眞一」ですが、初期の作品を印刷する際に出版社の手違いで「慎二」としてしまいその後はそのまま慎二を使用したとのことです。